スコティッシュ・フォールドは人気種であってはいけない

 

すでに知っている人にとっては、何を今更、というほどの常識なのでしょう。
しかしまだまだ大多数の人には知られていないと思います。

知らない人が多いのでは?と私が思う理由はスコティッシュ・フォールドが2016年現在も猫の人気種のランキング上位に常に位置しているからです。その真実がもっと広く正しく知られているのならば、そんなことはあり得ないはずなのです。

2016年11月23日に開催された以下のセミナーに参加してきました。そしてその内容は広く世の中に伝えたいと思うものでした。

第3回 猫壱セミナー
猫と人のQOR(関係の質)向上セミナー
スコティッシュ・フォールドと暮らした時に気をつける事

 

ポイントは以下の2つでしょう。

1. 耳が折れているのは遺伝による軟骨の変異
2. 軟骨は全身のいろんな場所にある

この2行だけでもう恐ろしい事態が想像できます。
人間の耳にもある、軟骨の枠を「耳介(じかい)軟骨」と言い、猫に特徴的な三角耳も耳介軟骨で形成されます。これが正常に形成できない異常な状態、それがスコティッシュの折れ耳なのだそうです。つまりそれは「遺伝による病気」なのだと私は理解しました。

その症状が耳だけに現れているのならまあ「見た目がかわいい」で済むのかも知れません。いや、通気が悪いのでいろいろ問題はあるようですが注意してケアしてあげれば重大な事にはならないのでしょう。
重大な問題として認識しなければいけないのは、この異常な(あえて「異常な」と言います)耳を持つ猫が、成長するに従って耳だけにとどまらず、全身の軟骨に障害を発生させるリスクが非常に高い事にあります。その率は90%以上との事。

軟骨に異常があるとどうなるのか、医学の知識など持たない素人の私にも容易に想像できます。軟骨って、手や足の関節の可動部分でクッションの様な役目を果たすのですよね。クッションになるはずの軟骨が固くなったり大きくコブのようになったりすると、想像するだけで痛そうです。普通に歩けそうにありません。

「骨軟骨異形成症(こつなんこついけいせいしょう)」「骨瘤(こつりゅう)」などと言うそうです。特徴的な「ざぶとんの様な手」に触られるのを極度に嫌がる子が多い、その理由は単純に痛いからなのですね。痛いまでいかなくても違和感があるために嫌がるケースも多いのだとか。

 

もしかすると根本から認識が間違っているのかもしれません。つまり、
耳が折れている→全身の他の軟骨にも異常が出る可能性がある
のではなく、
全身の軟骨に異常が出る要素をもっている→最初に耳に現れる
のではないですか?だって「耳が折れる遺伝」ではなく「軟骨の形成異常の遺伝」なのですよね。

 

1961年にスコットランドで突然変異で産まれた折れ耳の猫がルーツと言われています。その特徴を残すために近い血縁との交配が繰り返された結果、先天性の疾患を抱えることになったという説もあります。それで言うとスコティッシュ・フォールドに限らず、純血種の繁殖全般において同じ事が言えるのではないでしょうか。

健康上の問題を抱えているはずのスコティッシュが今の日本においてはどんどん繁殖させられている。なぜか?
「売れるから」です。買う人が多いから、簡単な話ですね。

その遺伝的な理由により折れ耳同士の交配は最低限絶対に避けるべきですが、その認識が甘い業者もいるかも知れません。繁殖業者の崩壊現場の写真などを見かけるたびにそのあたりのモラルには疑いを持たざるを得ないのが正直なところです。すべての業者がそうだとは言いませんけれども。

折れ耳×立ち耳の正しい(?というのか甚だ疑問ではありますが)交配から産まれた折れ耳ならば大丈夫なのかというと、結局遺伝子は引き継がれている訳で、多かれ少なかれリスクは有る訳です。何よりもそういうリスクを持って産まれてくる猫がかわいそうでなりません。何のためのリスクなのか、ただの一部の人間の利益のためではないのでしょうか。

 

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